Shopify を Magento など他のECプラットフォームと比較したことがある方なら、 「Shopify は SEO がそこまで強くない」という話を聞いたことがあるかもしれません。
とはいえ、Shopify にも標準で用意されている SEO 機能はいくつか存在し、 正しく活用できれば検索エンジンにインデックスされ、自然検索からの流入を増やすことが可能です。
ここでは、Shopify にデフォルトで備わっている SEO 機能について順番に解説します。
XML サイトマップ(sitemap.xml)
Shopify の sitemap.xml は、Google や Bing のような検索エンジンが **最初にあなたのストアを理解するための「地図」**のような役割を持っています。
サイトマップには、ストア内の主要なページ(商品、コレクション、記事など)が自動で一覧化され、 検索エンジンはそれをもとにページをクロールし、インデックスしていきます。
Shopify の sitemap.xml の特徴
- 自動生成 & 自動更新:新しいページを追加すると sitemap に自動反映。
- 編集不可:独自のサイトマップを追加したり、ページを除外したりすることはできない。
- 閲覧は可能:
例:
https://あなたのドメイン/sitemap.xml
この「編集できない」という点は、SEOに強いCMSと比べると制約に感じる人もいます。 特に細かいクロール制御をしたい中級〜上級者にとっては物足りない部分です。

robots.txt(robots.txt.liquid)
robots.txt は、検索エンジンのクローラーに対して 「このページはクロールしてOK」「ここはクロールしないで」といった指示を出すファイルです。
Shopify ではこの robots.txt が自動生成されていますが、 XML サイトマップとは異なり、**編集が可能(2021年のアップデート以降)**になっています。
Shopify の robots.txt の特徴
- 自動生成されるため初期設定は不要
- 編集可能(テーマファイル内で robots.txt.liquid を作成して変更)
- 特定URLのクロール拒否・許可の設定ができる
確認方法
例:https://あなたのドメイン/robots.txt
ただし、テーマファイルの編集が必要なため、 コードに慣れていない場合は開発者のサポートが必要になる点は注意点です。

URL構造と URL ハンドル編集
Shopify の URL 構造は、SEO の観点から見ると比較的「制限が多い」仕組みです。
Shopify のURLの制限
以下のようなディレクトリ(パス)は固定であり、削除したり変更できません:
/products//collections//blogs/
そのため、商品ページのURLは必ず次のような形式になります。
例:
domain.com/products/product-namedomain.com/collections/collection-namedomain.com/blogs/blog-homepage-name
できること:URLハンドル(スラッグ)の編集
商品名・コレクション名・記事の「ハンドル」は自由に編集できます。
(例:product-name の部分)
さらに、URLを変更した場合は自動的にリダイレクトの設定をすることも可能です。
ただし、URL構造自体をカスタマイズできないため、 SEO 的に“理想的なシンプルURL”を追求したい場合には制約が残ります。

301リダイレクト
前の URL 構造の話に関連しますが、Shopify には URLリダイレクト機能 が用意されています。 これは、削除したページ・非公開にしたページなどが 404 エラーを返してしまうのを防ぎ、 検索エンジンにもユーザーにも良い影響を与える重要な仕組みです。
Shopify の 301 リダイレクトでできること
- 削除した商品や記事のリンクを、新しいURLに正しく転送できる
- 古い URL から新しい URL へSEO価値を引き継げる
- ユーザーが 404 ページに迷い込むのを防げる
しかし、Shopify のリダイレクト機能には明確な制限があります。
リダイレクトできない URL の条件
以下のようなパスから始まる URL は、Shopify ではリダイレクト設定ができません:
/application/apps/cart/carts/orders/services
また、Shopify 固有のシステムパスもリダイレクト不可です:
/products/collections/collections/all
つまり、一般的なページはリダイレクト可能だが、Shopifyの仕組み上の重要パスは編集できないという制限があります。

Meta Tags(メタタグ:タイトルとディスクリプション)
SEOにおいて最重要とも言えるのが メタタイトル と メタディスクリプション。 検索エンジンの検索結果(SERP)に表示される、あのタイトルと説明文の部分です。
いくら良いコンテンツを作っても、 検索結果でクリックされなければ集客にはつながりません。
Shopify で編集できるメタタグ
- 商品ページ
- コレクションページ
- ブログ記事
- 固定ページ
- ホームページ
すべての主要ページでタイトル・説明文を調整できるため、ここは Shopify の強みの一つです。
なぜ重要?
- SERPでのクリック率(CTR)を大きく左右する
- キーワードを適切に入れると検索順位にプラス
- ブランド力の訴求にも使える
「内容は良いのにクリックされない…」というケースは、 多くがメタタイトルと説明文が弱いことが原因です。

Canonical Tags(カノニカルタグ)
ECサイトでよく発生する問題が 重複コンテンツ(Duplicate Content)。 Shopify でも、以下のようなケースで同一の商品が複数のURLで表示されることがあります:
例:
domain.com/products/product-namedomain.com/products/product-name?variant=43824702521540domain.com/collection/one-time-collection/products/product-name
ユーザーには同じ商品ページに見えても、検索エンジンは「別ページ」と判断し、 最悪の場合、評価が分散してしまうことがあります。
Shopify の対策:自動カノニカルタグ
Shopify では、テーマファイル(theme.liquid)内に 自動で canonical タグが生成されるようになっています。
これにより:
- 検索エンジンは「どのURLを正規ページとして扱うか」を理解できる
- 重複コンテンツによる評価分散を防止できる
- 特別な設定をしなくても基本的なSEO対策が成立する
必要があれば、個別ページに独自の canonical タグを設定することもできますが、通常は自動生成で問題ありません。
構造化データ(Structured Data)
メタタグと同様に、構造化データ(スキーママークアップ) は、検索結果でサイトを目立たせる重要な要素です。 ただし、構造化データの役割は「見た目」だけではありません。
検索エンジンに対してページ内容の詳細情報を伝え、 どのような人に、どんな場面で表示すべきページなのか を理解させることが目的です。
検索結果でよく見かける以下のようなリッチリザルトは、構造化データがあることで表示されます:
- レビュー(星評価)
- 価格
- 在庫状況
- 評価数
- 商品情報
Shopify の課題:構造化データの追加が簡単ではない
Shopify ではメタタグのように簡単に設定できず、 Liquid・HTML・JSON-LD の基礎知識が必要 になります。
そのため:
- 初心者にはややハードルが高い
- テーマによっては構造化データが不足している場合がある
- 必要に応じて開発者のサポートや外部アプリが必要
特に SEO を強化したい場合、構造化データの最適化は欠かせないため、ここは Shopify の弱点とも言えます。
ブログ機能(Shopify Blog)
Shopify のブログ機能は無料で使えるマーケティングツールで、 検索流入を増やしたり、読者のエンゲージメントを高めたり、商品紹介につなげたりできる重要な機能 です。
Shopify では標準で以下が可能です:
- 記事の作成
- メタタイトル・ディスクリプションの編集
- 著者名の表示
- タグ付け
- アイキャッチ画像の設定
しかし標準機能には制限が多く、ブログを本格運用したい場合には物足りません。
Shopifyブログでできないこと(デフォルト)
- ブログ一覧ページに「ナビゲーションサイドバー」を追加できない
- 関連記事・関連商品を挿入する機能がない
- URL構造の変更ができない(SEO的には弱点)
- 柔軟なレイアウト編集ができない
そのため、より高度なブログ運用をしたい場合は、 Shopify Blog App(外部アプリ)に頼る必要があります。

モバイル対応(Mobile-friendliness)
Google が「モバイルファーストインデックス」を採用している現在、 モバイルフレンドリーなストアは必須条件 です。
Shopify はこの点を非常に重視しており、 実際に Shopify 全体のトラフィックの約 79% がモバイルから 来ているとされています。
Shopify のモバイル対応の特徴
- 多くのテーマがレスポンシブ対応
- コード編集なしでモバイル最適化されたデザインが利用できる
- カートやチェックアウトもモバイル前提で設計されている
ただし、最終的なモバイル体験は「選ぶテーマ」によって大きく左右されます。 SEOを意識するなら、必ずモバイルに強いテーマを選ぶことが重要です。
Google Analytics 4(GA4)
GA4 自体は SEO の直接的な順位要因ではありません。 しかし、ユーザー行動のデータを分析し、改善につなげる上で欠かせないツール です。
Shopify には GA4 の組み込み機能があり、設定はとても簡単です。
Shopify で GA4 を使うメリット
- ページビュー
- サイト内検索
- 商品閲覧
- カート追加
- チェックアウト開始
- 支払い情報の追加
- 購入(コンバージョン)
などのイベントが自動でトラッキングされます。
設定方法
Shopify 管理画面 →「オンラインストア」 →「基本設定(Preferences)」 で GA4 のタグを追加するだけでOK。
データに基づいた改善がしやすくなるため、SEO戦略にも間接的に貢献します。
まとめ
Shopifyには、XMLサイトマップ、robots.txt、URLハンドル編集、メタタグ設定、カノニカルタグ、構造化データ、ブログ、モバイル対応、GA4連携といった基本的なSEO機能が標準で備わっています。そのため、技術的には問題なくインデックスされ、一般的なECサイト運用には十分対応できます。
しかし、URL構造の固定、構造化データの追加難易度、ブログの拡張性の低さなど、上位表示を本気で狙う場合には制約が目立つ点も確かです。特に競合が強いジャンルでは、デフォルト機能だけでは限界があり、テーマの最適化やアプリ活用、外部ツールによるSEO強化が必要になります。つまり、Shopifyは「SEOの基礎は揃っているが、戦略的な最適化を行わないと成果が出にくい」プラットフォームと言えるでしょう。




