みなさんはマーケターで、SEO・SNS・コンテンツマーケティング・有料広告を使用していますが、思うようにコンバージョンにつながっていないでしょうか?
こちらの記事では海外でよく利用されているマーケティング戦略である「トリップワイヤー」についてご紹介します。
セールスファネルに「トリップワイヤー」を導入することで、大幅にコンバージョン率を上げ、利益を高めることができるかもしれません。
トリップワイヤー(tripwire)とは?
トリップワイヤーの目的は2つあります。
1つ目の目的は、サイトに訪れたコールドトラフィックを購入顧客に変換することです。もう一つの目的はあなたの商品・サービスにお金を使う可能性のある潜在顧客・ロイヤルカスタマーのリードを獲得することです。
もしエンドユーザーがトリップワイヤーオファーをした場合は、その後のアップセルの高額オファーを購入する可能性が高くなります。
これは、みなさんのことをまったく知らない顧客に対して何かを販売することよりも、みなさんのサービス・商品にお金を使って経験したことがある顧客の方に対しての方がはるかに販売するのが簡単という事実に基づいて機能しています。
格安のオファーを勧める
例えば、みなさんが高級なチョコレートを販売していたとしましょう。20個入りで1万円の高級チョコです。
そして、それをいきなり人々に売ろうとすれば、恐らくほとんど売れないでしょう。誰もみなさんのことも、チョコの味も知らないからです。
なので、ここでトリップワイヤーを使用します。例えば、同じチョコレートを5個2000円というかなり格安の金額で販売します。これは破格であるので、利益はほとんどない状態ですが、ここで一度購入してもらうことで、顧客はみなさんのことを知り、チョコの味も知ることになります。
このように一度何かを購入した顧客に対して、例えば、次に10個5000円のアップセルをします。そして、次に20個1万円のチョコをアップセルします。
当然ですが、トリップワイヤーオファーを購入した人がみんな高額のオファーを購入するとは限りませんが、一度でも何かを購入した顧客はリピーターになったり、高額のオファーを購入する可能性があがります。
トリップワイヤーオファー自体は、かなり割引価格であるのでほとんど利益はない(多少の損がある)かもしれませんが、最終的にはアップセルで高額商品を購入する顧客が現れるので、大きなプラスになるという考え方です。
これがトリップワイヤーの基本的な考え方です。
無料で配ればいいんじゃない?
ここで思う方もいらっしゃるかと思いますが、
「それだったら無料でチョコを配ればいいんじゃない?」
という疑問です。
確かに無料で配ることで、多くのリードを獲得することができると思います。ただ、そのリードの質というのを判断できなくなります。無料であるが故に、全く購入することに興味のない人のリードも多く含まれる可能性があります。
また、無料であるいうことはそれなりにコスト(損失)が発生する可能性もあります。トリップワイヤーは破格の価格設定ではあるものの、できるだけ損はしないような価格設定にすることで、損失が発生することを抑えます。
無料で配る代わりに、値札をつけた商品を販売して、一旦「既存顧客」とすることで、次の商品を販売しやすくするのです。
つまり、トリップワイヤーを使うことで、より購買意欲の高い潜在顧客を見つけることができるという大きなメリットがあります。
上記は、チョコレートという物理的商品を例で例えましたが、最近ですと動画販売やメンバーシップなどのサブスクリプションでもトリップワイヤーの手法を利用することができます。
例えば、起業関係の動画トレーニングコースがあるとします。このコースは通常でしたら動画を受講し放題で月 20,000円だとします。ただ、ここでトリップワイヤーのオファーを作成して、新規の方は 5日間トライアル500円(いつでもキャンセル可能) という価格設定にします。これは本当に受けようか悩んでいる方にとってはかなり魅力的な価格になっており、購入される可能性が高くなり、トライアル期間が終了した後に定価の 月 20,000円 に切り替える可能性が高くなります。
この場合、5日間トライアル500円 というトリップワイヤーオファーがあったからこの顧客は最終的には 月 20,000円 のサービスにお金を払ったのですが、トリップワイヤーオファーがなければ、そのまま諦めてお金を払うことはなかったかもしれません。
トリップワイヤーオファーは低コスト・低リスク・低コミットメントなので、顧客の警戒心や不安を下げてくれます。そして、上記のような動画コースやメンバーシップの場合は、実際に受講して価値を感じてくれれば、毎月のサブスクリプションに登録する可能性が高くなります。
トリップワイヤーはリードマグネットとどう違うのですか?
トリップワイヤーはリードマグネットに非常に似ているように見えるかもしれませんが、そうではありません。
リードマグネットは、見込み客のEメールアドレス(電話・住所等)の連絡先情報と引き換えに、無料の製品(無料の電子書籍など)の形でインセンティブを提供します。
↓よく見かける以下のような例がリードマグネットです。
上図の例では、ガーデニングの本を無料でゲットするために、見込み客は自分のEメールを入力するだけで済みます。
一方、トリップワイヤーは、見込み客を実際の顧客に変えるインセンティブとして、大幅に割引された製品/サービスを提供します。
つまり、リードマグネットとトリップワイヤーは以下のファネルのように同じセールスファネルの中で一緒に使うことができます。
例えば、以下のように
- ①無料PDFをリードマグネットとして、リードを獲得する
- ②獲得したリードに対して、トリップワイヤーオファーをオススメする
- ③トリップワイヤーオファーを購入した顧客に対して、高額オファーをオススメする
というマーケティング戦略もよく見かけます。海外ではよく利用されている人気のファネルモデルです。
トリップワイヤーとクーポンの違いは?
多く方がトリップワイヤーオファーを割引オファー(割引クーポンなど)と混同する傾向があります。見た目は同じかもしれませんが、目的は異なります。
割引オファーの目的は、利益を増やしながらコンバージョンを増やすことです。つまり、利益率を下げないことを目的としています。
一方トリップワイヤーオファーの目的は、できるだけ多くのトラフィックを顧客に変換することです。なので、トリップワイヤーオファーを走らせている間は、利益を上げることには集中していません。
冒頭でも触れましたが、非常に低価格で破格なオファーを提供することがトリップワイヤーオファーなので、他所は損失がでるかもしれません。ただ、この損失はトリップワイヤーオファーを購入した顧客へのアップセルでカバーできるという考え方です。
↓これはあくまでも「割引オファー」です。
↓これがトリップワイヤーオファーの例です。
セールスファネルのどこでトリップワイヤーを利用する必要がある?
トリップワイヤーは通常、販売目標到達プロセスの最初の方または途中で使用されます。
ファネルの最初
この戦略では、SEO、ソーシャルメディア、有料広告などを使用してWebサイトへのトラフィックを増やし、トリップワイヤーオファーを販売します。
この場合、トリップワイヤーオファー購入顧客に直接コアオファーを販売するのではなく、一旦アップセルやOrder Bump(併せ売り)などを挟むのが一般的です。
ファネルの途中
セールスファネルの中央でトリップワイヤーを使用することもできます。
この戦略では、トラフィックをWebサイトに誘導し、リードマグネット(無料オファー)を使用して、ユーザーをステップメールなどに登録します。そして、そのステップメールの中でトリップワイヤーオファーを勧めます。
すでにある程度のメーリングリストをお持ちの方は、この戦略を使うこともできます。
このプロセスを利用することで、みなさんのサービスにエンゲージの低いメーリングリストのユーザーを顧客として再度呼び戻すことができる可能性があります。
トリップワイヤーを成功させる5つの要因
トリップワイヤーを実装するだけでは、必ずしもその成功が保証されるわけではありません。
トリップワイヤーを成功させるには、トリップワイヤーのオファーに5つの重要な要素を組み合わせる必要があります。
コストは低く、知覚価値を高く
トリップワイヤーを成功させるには低リスク、低コミットメント、低コスト、および高価値の組み合わせである必要があります。
みなさんがトリップワイヤーで販売しようとしている製品/サービスの知覚価値が、その価格よりも遥かに高い必要があります。
価格が逆に安すぎると、次にユーザーは、「何か裏があるかも…..」 と思います。
そこで、その部分の警戒心や不安を完全に払拭するために「返金保証」や「キャンセルOK」などの価値を提供します。よく利用されるのが「無料トライアル/試用期間」ということで、トライアル期間内にキャンセルすればお金は発生しないというやり方です。
高い品質の製品・サービス
トリップワイヤーとして提供する製品は、信頼を築き、顧客があなたとビジネスを続けることを奨励するために、高品質である必要があります。
ですので、トリップワイヤーとして販売する製品・サービスはみなさんが自信のあるモノである必要があります。また、別の考え方をすると、最終的に売りたいコアオファーのサンプルのようなものとしてイメージしていただくとよいかもしれません。サンプルの質が良くなければ、顧客はコアオファーやアップセルに興味を示すことはありません。
便利だが不完全
あなたのトリップワイヤー製品は高い価値を提供するだけでなく、あなたの顧客がもっと欲しがっているままにしておくべきです。
つまり、トリップワイヤーのオファーですべてを与えてしまうのではなく、どこか顧客がまたウェブサイトに戻ってきたいと思うようなものにしておく必要があります。
例えば、オンラインコースを販売している場合は、コースの最初のチャプターや一部のみをトリップワイヤーとして販売します。当然、自然な流れでしたら、顧客は続きのチャプターが見たくなるので、残りのチャプターも購入するという流れになります。
できる限り、トリップワイヤーから自然にコアオファーに繋がることを意識すると良いです。
切迫感を生み出す
トリップワイヤーを成功させるためには切迫感を作り出す必要があります。
これはトリップワイヤーに限ったことではありませんが、いわゆるタイムセールのようなもので、購入者に切迫感を与えることで、「今しか買えない」という感情を沸かせます。
在庫が存在している物理的な商品であれば、在庫残り○○個という風に伝えることができますし、コース販売などのようなデジタル商品であればオファーページにタイマーを設けて「残り〇時間〇分」という風に切迫感を伝えることができます。
具体的かつ関連性のあるモノ
コアオファーと全く関連性のない製品/サービスをトリップワイヤーで販売したとしても、誰もコアオファーに興味を持たないです。
ですので、リードマグネット・トリップワイヤー・アップセルなどの製品はすべてコアオファーを関連しているものであるかを確認する必要があります。
例えば、室内ガーデニングに関する無料のEBookをリードマグネットにした場合は、トリップワイヤーは室内ガーデニングの特別ウェビナーに関連するものにして、コアオファーは室内ガーデニングの動画コースなどにします。この場合、リードマグネットからコアオファーまで自然につながります。
トリップワイヤーとして提供できる7種類の製品
業界によっては、トリップワイヤーとして提供できる製品/サービスがたくさんあります。
以下はその参考例です。
1.製品/サービスの試用版
トライアル/試用版はトリップワイヤーとして代表的な例です。
期間限定のトライアル(理想的には7〜10日)を低コスト(例 7日間のアクセスで700円など)で提供できるため、製品またはサービスのすべての機能をテストして使用できます。
これは、デジタル製品、トレーニングコース、およびメンバーシップサイトに最適です。
2.物理的商品を送料のみを請求する(商品自体は無料):
例えば物理的な本を販売している場合、本の価格自体は無料にして、購入者には送料のみを支払ってもらうイメージです。
これは、買い物アプリの「WISH」でよく利用されているマーケティング戦略です。
↑「もらう」と記載されていますが、実際には送料はユーザーが負担します。
3.コアオファーの小規模版
コアオファーの一部をトリップワイヤーとして販売することもできます。
これは試用期間にも似ていますが、試用期間は期限付きのオファーであるのに対して、こちらは一部だけを見せるようなイメージです。例えば、全100動画のコースを販売している場合は、その中の5個の動画だけをトリップワイヤーとして提供するイメージです。
4.補完製品(Complementary Products)
補完製品というのは、基本的に同時に消費される2つの製品のことを指します。
例えば、「テニスボールとテニスラケット」「ガソリンと車」「ハンバーガとバーガーバン」「靴と靴下」のような商品です。
例えば、みなさんがスニーカーをメインで販売しているのなら、スニーカークリーナーをトリップワイヤーとして販売することもできます。
5.電子書籍または情報製品
あなたのコアオファーに関連する電子ブックは完璧なトリップワイヤーを作ることができます。
ただし、上記でもお伝えの通り、その電子書籍がしっかりと高い価値を伝えている必要があります。
6.ウェビナー
ウェビナーは通常、無料のリードマグネットとして使用されますが、トリップワイヤーとしても機能します。
ウェビナーをトリップワイヤーとして利用する場合は、すでに持っているメーリングリストに対して有料ウェビナーをトリップワイヤーとして勧めることが効果的です。
7.相談
Zoom、チャット、電話等で15分間の1対1の相談をトリップワイヤーとして提供できます。
こちらもまずはリードマグネットから始めて、その中のメーリングリストに有料相談のトリップワイヤーオファーを勧めることが効果的です。
すでにある程度興味を持っているユーザーがメーリングリストに入っているので、トリップワイヤーオファーを購入する可能性が上がります。
トリップワイヤーオファーの価格を設定する方法は?
トリップワイヤーの価格は通常1ドルから20ドルの間です。ただし、製品の平均コストによっては、価格が高くなる場合があります。
たとえば、コアオファーが2000ドルで販売されている場合は、100ドルのトリップワイヤーオファーの販売を検討することもできます。
上記でご説明している通り、提供しているトリップワイヤー製品/サービスの価値が、販売価格よりも遥かに高いことが重要です。
例えば、もともと5,000円で販売されている動画コースを10分の1の価格の500円で提供するとします。ユーザーとしては、これは買わないと逆に損になるくらい魅力的なオファーです。この場合、動画コースというデジタル商品であるので、基本的に販売者が損をすることはありません。ただし、物理的な商品であれば原価があるので、それを下回らないように損をしないように価格を設定する必要があります。理想的には、損益分岐点を達成するか、損失をできるだけ少なくするように価格を設定する必要があります。
トリップワイヤーファネルが実装できるツールは?
KAJABI
KAJABIは動画コース販売、メンバーシップ販売、メールマーケティングなどを一括で行うことができるオールインワンのマーケティングツールです。KAJABIにはオートメーション機能があるので、リード獲得→トリップワイヤー→コアオファー販売というような流れも簡単に組むことができます。
僕自身、KAJABIに関しては日本で一番経験があると認識しております。詳しくは以下の記事をご参考ください。
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Clickfunnels
ファネル作成といえばクリックファネルが有名です。クリックファネルは豊富なテンプレートから最適なファネルを選択することができるので、様々なビジネスモデルで利用されています。つい最近は Clickfunnels 2.0 が公開されまして、さらに便利になっているツールです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。多くの方はリードマグネットを使って、リード獲得までは上手くできていると思いますが、そのリードを顧客に変換できなければなんの意味もありません。
この記事でご紹介したように、トリップワイヤーはリードを顧客に変換するための一つの橋として機能し、その後のアップセルへとつなげてくれる役割があります。
もし今までトリップワイヤーマーケティングを利用したことがない場合は、是非トリップワイヤー実装してみると良いかと思います。
トリップワイヤーとは何ですか?
トリップワイヤーは、見込み客を顧客に変えるためだけに設計された、魅力的で低価格のオファーです。通常、価格は5.00ドルから30.00ドルの間ですが、大部分は20.00ドル未満です。
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